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数学ノートについて
C.1 星型開集合と開球体の可微分同相性
C.1.1 星型集合

よく事実として済まされがちな、Euclid空間における星型開集合と開球体の同相性を $C^{\infty}$ 級同相の意味で示します。性質のよい星型閉集合についても類似する事実を確認します。用語については以下の通りです。

定義C.1.1
(星型集合・凸集合)

$A$ をEuclid空間 $\R^{n}$ の部分集合とする。

(1) $A$ の点 $p$ が $A$ の中心であるとは、任意の点 $q\in A$ に対して $p, q$ を結ぶ線分が $A$ に含まれることと定める。
(2) $A$ が星型集合であるとは、$A$ が中心を持つことと定める。
(3) $A$ が凸集合であるとは、空ではなくここでは星型集合の特別な場合とみなすために空集合は除外しておきます。その任意の点が中心であることと定める。

その他、可微分多様体やその位相的な性質については既知として進めます。

具体的には以下のことを示します。

命題C.1.2

Euclid空間 $\R^{n}$ の星型開集合 $U$ は単位開球体 $\Int D^{n}$ に $C^{\infty}$ 級同相である。

命題C.1.3

Euclid空間 $\R^{n}$ の星型閉集合 $A$ は有界かつその中心全体からなる部分集合 $C$ が内点を持てば単位閉球体 $D^{n}$ に同相である。また、その間の同相写像は内部を $C^{\infty}$ 級同相に移すように取れる。

系として次のことも分かります。

系C.1.4

同じ次元の単位閉球体 $D^{n}$、単位超立方体 $I^{n}$、標準単体 $\Delta^{n}$ は互いに同相であり、その間の同相写像は内部を $C^{\infty}$ 級同相に移すように取れる。

C.1.2 補題

いくつか補題を用意します。

補題C.1.5

可微分多様体 $M$ 上定義された正値関数 $f : M\to (0, +\infty)$ に対して次は同値である。

(1) $f$ は $($各点において$)$ 下半連続である。
(2) $M\times [0, +\infty)$ の部分集合 $V := \{(x, y)\in M\times [0, +\infty)\mid 0\leq y < f(x)\}$ は開集合である。
証明

(1) ⇒ (2) $(x_{0}, y_{0})\in V$ とします。$x_{0}$ における下半連続性から $y_{0} < f(x_{0})\leq \underset{x\to x_{0}}{\varliminf} f(x)$ であり、$x_{0}$ のある開近傍 $W$ において $f(x) > \tfrac{1}{2}(y_{0} + f(x_{0}))$ です。従って、$(x_{0}, y_{0})$ の $V$ に含まれる開近傍として $W\times [0, \tfrac{1}{2}(y_{0} + f(x_{0})))$ が取れます。よって、$V$ は開集合です。

(2) ⇒ (1) $x_{0}\in M$ における下半連続性を示します。$y < f(x_{0})$ を取ります。$(x_{0}, y)\in V$ であり、その $V$ に含まれる開近傍 $W\times (s, t)$ が取れます。この $W$ 上で $f(x) > y$ が成立し、$\underset{x\to x_{0}}{\varliminf} f(x) \geq y$ です。$y < f(x_{0})$ は任意なので $\underset{x\to x_{0}}{\varliminf} f(x)\geq f(x_{0})$ であり、$x_{0}$ における下半連続性が示されました。

補題C.1.6

可微分多様体 $M$ 上定義された正値下半連続関数 $f : M\to \R$ に対し、$M$ 上の正値 $C^{\infty}$ 級関数の列 $\{f_{i}\}_{i\in \N_{+}}$ であって狭義単調増加かつ $f$ に各点収束するものが存在する。

証明

$M\times [0, +\infty)$ の部分集合 $V, W$ を\[V := \{(x, y)\in M\times [0, +\infty)\mid 0\leq y < f(x)\},\]\[W := \{(x, y)\in M\times [0, +\infty)\mid f(x)\leq y\}\]と定め、連続関数 $g : M\times [0, +\infty)\to [0, 1]$ であって以下の条件を満たすものを構成します。

各 $x\in M$ に対し、$g$ の $\{x\}\times [0, +\infty)$ への制限 $g_{x} : [0, +\infty)\to [0, 1]$ は広義単調減少。
$g^{-1}(0) = W$.
$g|_{M\times \{0\}}\equiv 1$.

まず $M = \R^{n}$ の場合、Euclid空間 $\R^{n + 1}$ の標準的な距離関数 $d$ を用いて連続関数 $h : \R^{n}\times [0, +\infty)\to [0, +\infty)$ を\[h(x, y) = d((x, y), W)\]と定義し、$g(x, y) = h(x, y)/h(x, 0)$ と定めればよいです。実際、距離関数の性質 $($予備知識 命題2.8.11$)$ から $h$ は連続かつ $h^{-1}(0) = W$ であり、$g$ の連続性と $g^{-1}(0) = W$ が従います。$g|_{\R^{n}\times \{0\}}\equiv 1$ も明らかです。そして、各制限 $g_{x}$ が広義単調減少であることは任意の $y_{0} < y_{1}$ に対して $(x, y_{0})$ を中心とする半径 $h(x, y_{1})$ の開球体が $W$ と交わらないことから従います。

一般には $M$ の座標近傍系 $\{(U_{\lambda}, \varphi_{\lambda} : U_{\lambda}\to V_{\lambda})\}_{\lambda\in\Lambda}$ であって各 $V_{\lambda}$ が $\R^{n}$ であるものを固定し、開被覆 $\{U_{\lambda}\}_{\lambda\in\Lambda}$ に従属する $1$ の分解 $\{h_{\lambda}\}_{\lambda\in\Lambda}$ を取り、各 $\lambda\in \Lambda$ に対しては $\varphi_{\lambda}$ による $U_{\lambda}$ と $\R^{n}$ の同一視のもとで $M = \R^{n}$ の場合の結果を用いて連続関数 $g_{\lambda} : U_{\lambda}\times [0, +\infty)\to [0, 1]$ を条件

各 $x\in U_{\lambda}$ に対し、$g_{\lambda}$ の $\{x\}\times [0, +\infty)$ への制限 $g_{\lambda, x} : [0, +\infty)\to [0, 1]$ は広義単調減少。
$g_{\lambda}^{-1}(0) = W\cap (U_{\lambda}\times [0, +\infty))$.
$g_{\lambda}|_{U_{\lambda}\times \{0\}}\equiv 1$.

を満たすように取り、$g(x, y) = \sum_{\lambda\in\Lambda}h_{\lambda}(x)g_{\lambda}(x, y)$ と定めればよいです。以上で条件を満たす連続関数 $g$ の構成が完了しました。

主張のためには各 $i\in \N_{+}$ に対して $C^{\infty}$ 級関数 $f_{i} : M\to [0, +\infty)$ であってそのグラフ $\Gamma_{i}$ が $V_{i} := g^{-1}((\tfrac{1}{i + 1}, \tfrac{1}{i}))$ に含まれるものを構成すればよいです。各 $x\in M$ に対して $I_{x} := V_{i}\cap (\{x\}\times [0, +\infty))$ が $g_{x}$ の取り方から $($空でない$)$ 開区間であることに注意。各 $a\in M$ に対して $(a, y_{a})\in V_{i}$ となる $y_{a}$ を取り、その開近傍 $W_{a}\times (y_{a} - \varepsilon_{a}, y_{a} + \varepsilon_{a})$ を $V_{i}$ に含まれるように固定します。$M$ の開被覆 $\{W_{a}\}_{a\in M}$ に従属する $C^{\infty}$ 級の $1$ の分割 $\{k_{a}\}_{a\in M}$ を取り $f_{i}(x) = \sum_{a\in M}k_{a}(x)y_{a}$ と定めればよいです。実際、この総和は局所的には $C^{\infty}$ 級関数の有限和なので $C^{\infty}$ 級関数であり、グラフ $\Gamma_{i}$ が $V_{i}$ に含まれることは $k_{a}(x) > 0$ を満たす $a\in M$ に対して $y_{a}\in I_{x}$ であることと $\sum_{a\in M}k_{a}(x) = 1$ から確認できます。

補題C.1.7

可微分多様体 $M$ と連続写像 $l : M\times [0, r)\to \R$ であって $\min l > 0$ を満たすものが与えられているとする。写像 $F : M\times [0, r)\to M\times [0, +\infty)$ を\[F(x, y) = \left(x, \int_{0}^{y}l(x, u)du\right)\]により定めるとき、この $F$ は像への同相写像である。そして、もし $l$ が $C^{\infty}$ 級関数ならば $F$ は像への $C^{\infty}$ 級同相写像である。

証明

連続写像 $L : M\times [0, r)\times I\to \R$ を\[L(x, y, t) = l(x, ty)\cdot y\]により定めれば\[F(x, y) = \int_{0}^{1}L(x, y, t)dt\]です。あとは解析学の基礎です$F$ の連続性は初等的な評価から分かります。また、明らかに単射です。コンパクト空間からHausdorff空間への単射が埋め込みであることから局所的な同相、従って、全体での同相が従います。$l$ が $C^{\infty}$ 級写像の場合について、この場合は偏微分と積分が可換なので $F$ は $C^{\infty}$ 級です。$C^{\infty}$ 級同相性は逆関数定理から分かります。

次は命題C.1.3の証明に使用します。

補題C.1.8

位相空間 $X$ からコンパクトHausdorff空間 $Y$ への写像 $f : X\to Y$ について、$f$ のグラフ $\Gamma_{f}\subset X\times Y$ が閉集合ならば $f$ は連続である。

証明

$Y$ の開集合 $V$ を取り、$f^{-1}(V)$ の各点 $x$ が内点であることを示せばよいです。$L := Y\setminus V$ の各点 $y$ に対して点 $(x, y)\in X\times Y$ の開近傍 $U_{y}\times V_{y}$ を $\Gamma_{f}$ と交わらないように取ります。$\{V_{y}\}_{y\in L}$ は $L$ の開被覆であり、コンパクト性から有限部分被覆 $\{V_{y}\}_{y\in L'}$ が取れます。$U := \bigcap_{y\in L'}U_{y}$ とおけばこれは $x$ の開近傍であり、$U\times L$ は $\Gamma_{f}$ とは交わらないので $U\subset f^{-1}(V)$ です。以上により $x$ は $f^{-1}(V)$ の内点であり、$f$ の連続性が確かめられました。

C.1.3 証明

では証明。まずは命題C.1.2の証明から。

証明

平行移動により $U$ は原点を中心に持つとしてよいです。また、$C^{\infty}$ 級同相写像 $k : [0, 1)\to [0, +\infty)$ であって $0$ の近傍において恒等的なもの例えば、$[0, \tfrac{1}{2}]$ において $k(t) = t$ とし、$[\tfrac{1}{2}, 1]$ において $k(t) = t + \exp(-(\tfrac{3}{4} - t)/(t - \tfrac{1}{2})(1 - t))$ とすればよいです。を用いて定まる $C^{\infty}$ 級同相写像\[K : \Int D^{n}\to \R^{n} : x\mapsto \left\{\begin{array}{ll}k(|x|)\dfrac{x}{|x|} & (x\neq 0) \\0 & (x = 0)\end{array}\right.\]により $U$ は有界な星型開集合 $K^{-1}(U)$ に $C^{\infty}$ 級同相なので、$U$ は最初から有界としてよいです。

$C^{\infty}$ 級写像\[\varphi : S^{n - 1}\times [0, +\infty)\to \R^{n} : (x, t)\to tx\]を用いて $V := \varphi^{-1}(U)$ と定めると、$U$ が原点を中心とする有界星型集合であることからある正値関数 $f : S^{n - 1}\to (0, +\infty)$ であって $V = \{(x, y)\in S^{n - 1}\times [0, +\infty)\mid 0\leq y < f(x)\}$ であるものが一意に定まりますが、$V$ が開集合であることと補題C.1.5からこの $f$ は下半連続です。補題C.1.6から正値 $C^{\infty}$ 級関数の列 $\{f_{i}\}_{i\in \N_{+}}$ であって狭義単調増加かつ $f$ に各点収束するものを取り、列の最初に $f_{0}\equiv 0$ を加えます。以下の設定を行います。

各 $i\in \N$ に対して $m_{i} := \min(f_{i + 1} - f_{i})$ と定め、$r_{i} := \sum_{j = 0}^{i - 1}m_{j}$ と定める。また、$r := \sum_{j = 0}^{\infty}m_{j}$ と定める。
$C^{\infty}$ 級関数 $h : \R\to [0, +\infty)$ を\[h(u) = \left\{\begin{array}{ll}e^{-1/u(1 - u)} & (u\in [0, 1]) \\0 & (\text{otherwise})\end{array}\right.\]に取り、$E := \int_{0}^{1}h(u)du$ と定める。
$C^{\infty}$ 級関数 $l : S^{n - 1}\times [0, r)\to [0, +\infty)$ を\[l(x, y) = \left\{\begin{array}{ll}1 + \dfrac{f_{i + 1}(x) - f_{i}(x) - m_{i}}{\tfrac{m_{i}}{3}E}h(\tfrac{3}{m_{i}}(y - (r_{i} + \tfrac{1}{3}m_{i}))) & (y\in [r_{i} + \tfrac{1}{3}m_{i}, r_{i} + \tfrac{2}{3}m_{i}]) \\1 & (\text{otherwise})\end{array}\right.\]により定める。

$r$ は簡単な評価により有界値であることが分かります適当に固定した $x\in S^{n - 1}$ に対して $m_{i}\leq f_{i + 1}(x) - f_{i}(x)$ であり、$i$ に関する両辺の無限和を取れば $r\leq f(x) < +\infty$ です。。また、$l$ は正値かつ常に\begin{eqnarray*}\int_{r_{i}}^{r_{i} + m_{i}}l(x, u)du & = & m_{i} + \dfrac{f_{i + 1}(x) - f_{i}(x) - m_{i}}{\tfrac{m_{i}}{3}E}\int_{r_{i} + m_{i}/3}^{r_{i} + 2m_{i}/3}h(\tfrac{3}{m_{i}}(u - (r_{i} + \tfrac{1}{3}m_{i})))du \\& = & m_{i} + \dfrac{f_{i + 1}(x) - f_{i}(x) - m_{i}}{\tfrac{m_{i}}{3}E}\dfrac{m_{i}}{3}E \\& = & f_{i + 1}(x) - f_{i}(x)\end{eqnarray*}であるように定義されています。従って、$C^{\infty}$ 級写像 $F : S^{n - 1}\times [0, r)\to S^{n - 1}\times [0, +\infty)$ を\[F(x, y) = \left(x, \int_{0}^{y}l(x, u)du\right)\]により定めれば常に $F(x, r_{i}) = (x, f_{i}(x))$ を満たし、$V$ への $C^{\infty}$ 級同相を与えます $($補題C.1.7$)$。$F$ は $S^{n - 1}\times [0, \tfrac{1}{3}m_{0}]$ において恒等的なので、半径 $r$ の開球体 $\Int D_{r}^{n}$ と $U$ との $C^{\infty}$ 級同相写像を誘導します。あとは $r^{-1}$ 倍写像の合成により単位開球体 $\Int D^{n}$ と $U$ の $C^{\infty}$ 級同相写像が得られます。

続いて、命題C.1.3の証明。

証明

平行移動により原点が $\Int C$ に属すとします。まず、次のことを示します。

(i) 原点を始点とする半直線は境界 $\partial A$ とちょうど $1$ 点で交わる。
(ii) $\partial A$ を $S^{n - 1}$ 上の正値関数 $f : S^{n - 1}\to (0, +\infty)$ を用いて $\partial A = \{f(x)x\in \R^{n}\mid x\in S^{n - 1}\}$ と表すとき、この $f$ は連続である。
(iii) $S^{n - 1}$ 上の正値 $C^{\infty}$ 級関数の狭義単調増大列 $\{f_{i}\}_{i\in\Np}$ であって $f$ に各点収束し、さらに、\[\lim_{i\to +\infty}\dfrac{\max(f_{i + 1} - f_{i})}{\min(f_{i + 1} - f_{i})} = 1\]を満たすものが存在する。

(i) 少なくとも $1$ 点と交わることは $A$ の有界性から明らかです。原点を始点とする線分 $l$ が境界 $\partial A$ と $2$ 点で交わっているとして矛盾を導きます。その $2$ 点は原点が $\Int A$ の元であることから原点ではないとしてよいです。原点に近いほうから $x_{1}, x_{2}$ とおきます。原点を通りかつ $l$ に垂直な超平面における原点を中心とする $($正の大きさを持つ$)$ 円盤 $D$ を $C$ に含まれるように取ります。$D$ の各点は $A$ の中心なので $x_{2}$ を頂点とする $D$ 上の錐は $A$ に含まれますが、これは $x_{1}$ を内点に持つので $x_{1}$ が境界の点であることに矛盾します。

(ii) $C^{\infty}$ 級写像 $\varphi : S^{n - 1}\times [0, +\infty)\to \R^{n} : (x, t)\mapsto tx$ を取れば、$f$ のグラフは $\varphi^{-1}(\partial A)$ であり、閉集合です。$A$ が有界集合であることから $f$ も有界であり、$f$ は閉区間への写像と思うことができます。よって、補題C.1.8より $f$ は連続です。

(iii) $\delta := \min f$ と定め、各 $C^{\infty}$ 級関数 $f_{i}$ を $\|f - \tfrac{\delta}{2i} - f_{i}\|_{\infty} < \tfrac{\delta}{8i^{3}}$ を満たすように取ります。このとき、\begin{eqnarray*}0\leq (\tfrac{1}{2i(i + 1)} - \tfrac{1}{4i^{3}})\delta & < & (\tfrac{1}{2i} - \tfrac{1}{2(i + 1)} - \tfrac{1}{8i^{3}} - \tfrac{1}{8(i + 1)^{3}})\delta \\& < & \min(f_{i + 1} - f_{i}) \\& \leq & \max(f_{i + 1} - f_{i}) \\& < & (\tfrac{1}{2i} - \tfrac{1}{2(i + 1)} + \tfrac{1}{8i^{3}} + \tfrac{1}{8(i + 1)^{3}})\delta \\& < & (\tfrac{1}{2i(i + 1)} + \tfrac{1}{4i^{3}})\delta\end{eqnarray*}です。この評価から $C^{\infty}$ 級関数列 $\{f_{i}\}_{i\in\Np}$ は狭義単調増加であり、また、$f_{1}$ がその取り方から正値なので各 $f_{i}$ も正値です。$f$ に各点収束することは明らか。そして、上記の評価から極限についての条件も従います。

主張の同相を構成します。$U = \Int A$ とおき、命題C.1.2の証明の $C^{\infty}$ 級写像 $\varphi$ を用いて $B := \varphi^{-1}(A)$, $V := \varphi^{-1}(U)$ と定めます。明らかに

$A = \overline{U}$, $B = \overline{V}$.
$B = \{(x, y)\in S^{n - 1}\times \R\mid 0\leq y\leq f(x)\}$.
$V = \{(x, y)\in S^{n - 1}\times \R\mid 0\leq y < f(x)\}$.

です。(iii)の関数列 $\{f_{i}\}_{i\in\Np}$ から命題C.1.2の証明のようにして $m_{i}, r_{i}, r, h, E, l$ を取ります。さらに $M_{i} := \max(f_{i + 1} - f_{i})$, $H := \max h$ とおけば、$l$ の定義式からその $S^{n - 1}\times [r_{i}, r_{i + 1}]$ における最大値 $L_{i}$ は\[1\leq L_{i}\leq 1 + \dfrac{3(M_{i} - m_{i})H}{m_{i}E}\]と評価でき、$\underset{i\to +\infty}{\lim}\tfrac{M_{i}}{m_{i}} = 1$ より $\underset{i\to +\infty}{\lim}L_{i} = 1$ が成立します。従って、$l$ は $S^{n + 1}\times [r, +\infty)$ において恒等的に $1$ を取る連続写像に拡張します。$r < +\infty$ には注意。ここで連続写像 $F : S^{n - 1}\times [0, +\infty)\to S^{n - 1}\times [0, +\infty)$ を同じく\[F(x, y) = \left(x, \int_{0}^{y}l(x, u)du\right)\]と定義すればこれは同相写像であり $($補題C.1.7$)$、$C^{\infty}$ 級同相 $\Int D_{r}^{n}\cong U$ とその閉包における同相 $D_{r}^{n}\cong A$ を誘導します。

補足C.1.9

星型閉集合の方 $($命題C.1.3$)$ は星型開集合 $($命題C.1.2$)$ の方に合わせた定式化にしてますが、証明中で既に示しているように、実際にはもう少し広く境界が単位球面上の連続写像で表せるという条件で大丈夫です。例えば、アステロイド曲線 $x^{2/3} + y^{2/3} = 1$ で囲まれる境界含む領域 $($中心は原点のみ$)$ に適用したいときはそちらを使います。

以上です。

メモ

閉の方、内部の $C^{\infty}$ 級同相まで必要になる状況があるかは知らないです。$($単なる同相なら当たり前のように使いますけど。$)$

参考文献

[1] -

更新履歴

2023/02/02
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