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幾何学のための予備知識 TOP
数学ノートについて
はじめに
f.1 まえがき
f.1.1 目的

「幾何学のための予備知識」ということで、このHPで公開している「多様体論」・「位相幾何学」のページで使用する基礎知識のほとんど全てを整備することを目的とします。

内容的には学部必修程度の内容を含みながら幾何学で使う応用的な内容を追加した感じのものを目指します。通常「必要になってから勉強すればよい」といわれるようなことも気にせず混ぜ込んだものを目指していると思ってもらえればいいかも?

証明について、簡単な部分は省略することもありますが基本的には付けていきます。なので、初学者でも(定義とか証明がそろっているというだけの意味で一応は)読める感じになるかとは思います。

f.1.2 現状の構成

現状で書けているのは以下の通りです。まだ全然です。

第1章 集合論と実数体の準備

各論に入る前にこれだけはまとめておいた方がよいと思われるものをまとめます。集合論は数学における共通言語といえるほどに基礎的な概念であり、どの分野においても必要な知識であるし、実数体は解析学を行う上での最も基本的な空間であるとともに、非自明な位相空間の例として最も重要なものであるためここで整備します。

集合論パートは1.1節から1.4節まで。1.1節は集合と集合演算に関するまとめ。1.2節で写像と添字付けられた族の導入。1.3節で二項関係、特に同値関係と順序関係についてまとめます。1.4節はZornの補題や整列定理といった応用上重要な定理の整備と集合の濃度に関する簡単なまとめとなります。

実数体パートは1.5節から1.9節まで。1.5節で実数体を公理的に導入し、点列の極限や完備性などの重要な性質を整備します。1.6節で実際に公理を満たす対象を有理数体の完備化により構成します。実数体の一意性にも触れます。ここは内容的に重要ではありますが、特に使う内容ではないです。1.7節でEuclid空間における点列の収束性や、開集合・閉集合などの位相的な性質について整備します。1.8節でEuclid空間上で定義された連続関数について整備します。連続性の定式化については $\varepsilon\text{-}\delta$ 論法によるもの、点列の極限によるもの、開集合系によるものがその基本として挙げられますが、いずれについてもまとめます。1.9節で関数列の一様収束性や級数などの無限和の扱いについて基本的なことをまとめています。

第2章 位相空間論からの準備

現状、学部必修でするくらいのことは一通り書けているけど幾何学用にはちょっと足りないという感じです。2.1節から2.2節で位相空間と連続写像に関する初歩的な事実をまとめ、2.3節から2.8節にかけて分離公理やコンパクト性などの重要概念について解説しています。その後は必修からは外れるものの重要な内容として、2.9節でパラコンパクト空間についてのまとめを行います。2.10節でhomotopy論で使う用語・事実のうちで純粋に位相空間論に収まる部分の解説をしています。2.11節のCGWH空間まとめは特にここの解説で使うつもりの内容では無いのですが、個人的に調べたついで公開することにしました。

第3章 代数学からの準備

3.1節で群と群準同型についての基礎と分量的にそんなにかさばらない補足的なものを詰め込んで、3.2節から3.4節までで群作用であるとか、群の表示であるとか、個別に重要事項をまとめるという構成。今後は環や環上の加群について追加していく予定。

第4章 解析学からの準備

一変数・多変数関数の微分だけについてだけ書きました。

第9章 ベクトル束の基礎

ファイバー束・ベクトル束の導入からベクトル束の分類定理辺りまで、位相的な議論で済む基礎的な事実をまとめています。「多様体論」のほうにもベクトル束の解説ページがあってそっちとかなり内容かぶってるのでそっち側の調整が必要な状態…

f.1.3 予定

書く予定のことです。

集合論と実数体の準備

論理的に必要なことは一通り書けたかなと思います。あとは細かい記述直したり例増やしたりとかしたいところ。

位相空間論からの準備

細かいことはさておき、当初書きたかったことは大体書き終わっています。何か大きく追加とすれば次元論とかそのあたり?

代数学からの準備

群・環・環上の加群・体について順に整備していきます。学部必修程度の内容は整備するつもりです。線形代数についても含むけど、そこは出来るだけ独立した内容として読めるようにする予定。

解析学からの準備

微積分の整備を行います。もちろん積分は測度空間上の積分として整備。細かい構成は未定。

圏論

言葉として使うくらいなので深くはしない予定です。既に詳しく解説されたテキストがいろいろあるでしょうしね。

関数解析

基本的なことから始めて次の関数空間の例を挙げるために十分な内容をまとめます。(下書きレベルなら大体は書けてる)

関数空間の例

Lebesgue空間、Sovolev空間、Hölder空間についてまとめる予定です。

微分方程式論

微分幾何学方面のことを念頭に、ODEとPDE両方をそれなりにまとめる予定です。

ベクトル束の基礎

ほぼ完成?先に書いてあった「多様体論」の方のベクトル束の解説と重複してるので、そこ上手く調整したいくらい?

f.2 主な参考文献

参考にする予定の文献一覧です。

[1] 松坂和夫 集合・位相入門 岩波書店 (1968)
[2] 堀田良之 代数入門–群と加群– 裳華房 (1987)
[3] 杉浦光夫 解析入門Ⅰ,Ⅱ 東京大学出版会 (1980)
[4] 志賀浩二 多様体論Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ 岩波書店 (1976)
[5] 田村一郎 微分位相幾何学Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ 岩波書店 (1977-1978)
[6] 服部晶夫 位相幾何学Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ 岩波書店 (1977-1979)
f.3 更新履歴

2021/11/16
公開開始