一般に位相空間を定義します。
$X$ を集合、$\mathcal{O}$ をその部分集合族とする。次の条件を満たすとき、$\mathcal{O}$ を $X$ の開集合系 $($もしくは位相$)$ という。
集合 $X$ とその開集合系との対 $(X, \mathcal{O})$ を位相空間といい、集合 $X$ に対してこのように位相空間を構成することを $X$ に位相を与える、$X$ に位相を入れるなどという。位相空間 $(X, \mathcal{O})$ において、$X$ の元を点とも呼ぶ。また、位相空間 $(X, \mathcal{O})$ は単に $X$ とも書く。
$3$ つ目の「任意の有限部分集合 $\mathcal{U}\subset \mathcal{O}$ に対して $\bigcap_{U\in \mathcal{U}} U\in \mathcal{O}$ 」という条件は「任意の $U_{1}, U_{2}\in \mathcal{O}$ に対して $U_{1}\cap U_{2}\in \mathcal{O}$ 」という条件で置き換えてもよく後者は前者の特別な場合であるし、前者は後者の高々有限開繰り返し適用より示されるため。、実際にそのように定義するテキストも多いです。
位相空間の例として次のようなものがあります。
$(X, \mathcal{O})$ を位相空間とする。$\mathcal{O}$ の元 $U$ を位相空間 $(X, \mathcal{O})$ の開集合といい、その補集合 $U^{c}$ を位相空間 $(X, \mathcal{O})$ の閉集合という。また、単に集合 $X$ とその開集合系 $\mathcal{O}$ が与えられている場合、$\mathcal{O}$ の元 $U$ の補集合 $U^{c}$ を開集合系 $\mathcal{O}$ に関する閉集合ということにするいちいち位相空間を参照せずに閉集合と呼びたいというだけのための定義で、開集合系が一緒ならば、$X$ の各部分集合に対してそれが開集合系に関する閉集合であることと位相空間の閉集合であることとは一致します。。
開集合系に対する双対概念として閉集合系というものが定義でき、これはちょうど開集合系に関する閉集合全体からなる集合族に一致します。
$X$ を集合、$\mathcal{F}$ をその部分集合族とする。次の条件を満たすとき、$\mathcal{F}$ を $X$ の閉集合系という。
また、閉集合系 $\mathcal{F}$ が与えられたとき、$\mathcal{F}$ の元 $F$ の補集合 $F^{c}$ を閉集合系 $\mathcal{F}$ に関する開集合と呼ぶ。
$X$ を集合とする。
(1) 開集合系 $\mathcal{O}$ が与えられ、主張のように $\mathcal{F}$ を定めているとします。$\varnothing, X\in \mathcal{F}$ は明らかです。部分集合 $\mathcal{V}\subset \mathcal{F}$ を取ります。このとき、各 $F\in \mathcal{V}$ に対して $F^{c}\in \mathcal{O}$ なので $\bigcup_{F\in \mathcal{V}}F^{c}\in \mathcal{O}$ です。よって、\[\bigcap_{F\in\mathcal{V}}F = \left(\bigcup_{F\in \mathcal{V}}F^{c}\right)^{c}\in \mathcal{F}\]です。同様に、有限部分集合 $\mathcal{V}\subset \mathcal{F}$ に対して $\bigcap_{F\in \mathcal{V}}F^{c}\in \mathcal{O}$ なので\[\bigcup_{F\in\mathcal{V}}F = \left(\bigcap_{F\in \mathcal{V}}F^{c}\right)^{c}\in \mathcal{F}\]です。よって、$\mathcal{F}$ は閉集合系です。
(2) (1)と同様です。
(3) 開集合系全体からなる集合を $\mathfrak{O}$、閉集合系全体からなる集合を $\mathfrak{F}$ とおくことにします。また、写像 $\varphi : \mathfrak{P}(2^{X})\to \mathfrak{P}(2^{X}) : \mathcal{A}\mapsto \{A^{c}\mid A\in \mathcal{A}\}$ を取ります。明らかに $\varphi^{2} = \Id_{\mathfrak{P}(2^{X})}$ です。(1), (2)はそれぞれ制限 $\xi : \mathfrak{O}\to \mathfrak{F}$, $\eta : \mathfrak{F}\to \mathfrak{O}$ が定まっているということを意味し、$\varphi^{2} = \Id_{\mathfrak{P}(2^{X})}$ から $\eta\circ \xi = \Id_{\mathfrak{O}}$ と $\xi\circ \eta = \Id_{\mathfrak{F}}$ が従います。よって、これらの対応は全単射です。
このことにより、集合 $X$ に対してその開集合系との対 $(X, \mathcal{O})$ たち全体と閉集合系との対 $(X, \mathcal{F})$ たち全体の間に一対一対応が得られ、実は位相空間の定義として集合と閉集合系との対を考えても本質的に同じであることが分かります。
位相空間の部分集合に対する基本的な操作として次の内部や閉包を取ることが挙げられます。
$(X, \mathcal{O})$ を位相空間、$A\subset X$ を部分集合とする。
まず、内部と閉包に関する基本的な事実として次を示します。
$(X, \mathcal{O})$ を位相空間、$A, B\subset X$ を部分集合とする。
(1) 内部と閉包の定義から明らか。
(2) 各 $x\in \Int A$ に対して $x\in U_{x}$ かつ $U_{x}\subset A$ となる開集合 $U_{x}$ を取ります。当然、任意の $y\in U_{x}$ に対しても $y\in U_{x}$ かつ $U_{x}\subset A$ なので $y$ も $A$ の内点であり、$x\in U_{x}\subset \Int A$ です。よって、\[\bigcup_{x\in \Int A}U_{x} = \Int A\]ですが、左辺は開集合であるので $\Int A$ は開集合です。
(3) $x\in X$ が $A$ の触点であることの否定は、$x\in U$ かつ $A\cap U = \varnothing$ を満たす開集合 $U$ が存在するということですが、$A\cap U = \varnothing\Leftrightarrow U\subset A^{c}$ なので、これは $x$ が $A^{c}$ の内点であることに同値です。よって、$(\Cl A)^{c} = \Int A^{c}$ です。
(4) (3)より $\Int A^{c}$ が開集合であることを確かめればよいですが、これは(2)よりよいです。
(5) (3)の $A$ を $A^{c}$ で取り換え、両辺の補集合を取ればよいです。
(6) (1)で示したものとは逆の包含関係 $A\subset \Int A$ を示せばよいです。$x\in A$ 対し、$A$ が開集合なので直ちに $x$ は $A$ の内点であり、$x\in \Int A$ です。よって、$A\subset \Int A$ です。
(7) (3)より $\Cl A = (\Int A^{c})^{c}$ であり、$A^{c}$ が開集合であることと(6)から $\Cl A = A^{cc} = A$ です。
(8) (9) (10) (11) 定義から明らか。
続いて、境界と外部に関するものもまとめます。
$(X, \mathcal{O})$ を位相空間、$A\subset X$ を部分集合とする。
(1) $\partial A$ は閉集合 $\Cl A$ と $\Cl A^{c}$ の共通部分なので閉集合です。
(2) $\Out A = \Int A^{c}$ から明らかです。
(3) $\partial A = \Cl A\cap \Cl A^{c} = \Cl A\cap (\Int A)^{c}$ であり、$\Int A\subset \Cl A$ からこれは $\Cl A\setminus \Int A$ に等しいです。
(4) (3)より明らかです。
(5) $X = A\cup A^{c}\subset \Cl A \cup \Cl A^{c}$ より $\Cl A\cup \Cl A^{c} = X$ です。そして、(4)より $\Cl A \cup \Cl A^{c} = \Int A\cup \partial A \cup \Out A$ と $\Int A\cap \partial A = \varnothing$, $\Out A\cap \partial A = \varnothing$ です。また、$\Int A\subset A$, $\Out A = \Int A^{c}\subset A^{c}$ と $A\cap A^{c} = \varnothing$ より $\Int A\cap \Out A = \varnothing$ です。以上より、$X = \Int A\sqcup \partial A \sqcup \Out A$ です。
系として、位相空間の部分集合が開集合であることとの同値条件をまとめておきます。
$(X, \mathcal{O})$ を位相空間、$A\subset X$ を部分集合とする。次は同値である。
$(X, \mathcal{O})$ を位相空間、$A\subset X$ を部分集合とする。次は同値である。
次は内部 $\Int A$ が部分集合 $A$ に含まれる最大の開集合であること、閉包 $\Cl A$ が部分集合 $A$ を含む最小の閉集合であることを意味します。
$(X, \mathcal{O})$ を位相空間、$A\subset X$ を部分集合とする。部分集合 $S\subset X$ に対して次は同値である。
(1) ⇒ (2) $S$ は $S\subset A$ を満たす開集合なので $S\in \mathcal{U}$ です。よって、$S\subset \bigcup_{U\in\mathcal{U}}U$ です。逆の包含関係は内点の定義から明らかです。
(2) ⇒ (3) まず、(2)から $S$ が $A$ に含まれる開集合であることは明らかです。そして、$U$ を $A$ に含まれる開集合とすれば $U\in \mathcal{U}$ なので $U\subset \bigcup_{U\in\mathcal{U}}U = S$ です。
(3) ⇒ (1) まず、$\Int A$ が $A$ に含まれる開集合なので $\Int A\subset S$ です。また、$S$ 自体が $A$ に含まれる開集合であることから、その各点は $A$ の内点であり、$S\subset \Int A$ も従います。
$(X, \mathcal{O})$ を位相空間、$A\subset X$ を部分集合とする。部分集合 $S\subset X$ に対して次は同値である。
(1)は $S^{c} = \Int A^{c}$ であることと同値。(2)は $\mathcal{U} := \{U\in \mathcal{O}\mid U\subset A^{c}\}$ とおいて $S^{c} = \bigcup_{U\in\mathcal{U}}U$ であることと同値。(3)は $S^{c}$ が $A^{c}$ に含まれる開集合であり、$A^{c}$ に含まれる任意の開集合 $U$ に対して $U\subset S^{c}$ を満たすことと同値。あとは命題2.1.13の同値性からから従います。
和集合や共通部分をとる操作に関連した性質として次が挙げられます。
$(X, \mathcal{O})$ を位相空間とする。
(1) 任意の $\lambda'\in \Lambda$ に対して $\bigcap_{\lambda\in\Lambda}A_{\lambda}\subset A_{\lambda'}$ であることから $\Int\left(\bigcap_{\lambda\in\Lambda}A_{\lambda}\right)\subset \Int A_{\lambda'}$ であり、$\Int\left(\bigcap_{\lambda\in\Lambda}A_{\lambda}\right)\subset \bigcap_{\lambda\in\Lambda}\Int A_{\lambda}$ です。
有限集合族の場合、$\bigcap_{\lambda\in\Lambda}\Int A_{\lambda}$ は $\bigcap_{\lambda\in\Lambda}A_{\lambda}$ に含まれる開集合なので $\bigcap_{\lambda\in\Lambda}\Int A_{\lambda}\subset \Int\left(\bigcap_{\lambda\in\Lambda}A_{\lambda}\right)$ が成立します。
(2) 任意の $\lambda'\in \Lambda$ に対して $A_{\lambda'}\subset \bigcup_{\lambda\in\Lambda}A_{\lambda}$ であることから $\Cl A_{\lambda'}\subset \Cl\left(\bigcup_{\lambda\in\Lambda}A_{\lambda}\right)$ であり、$\bigcup_{\lambda\in\Lambda}\Cl A_{\lambda}\subset \Cl\left(\bigcup_{\lambda\in\Lambda}A_{\lambda}\right)$ です。
有限集合族の場合、$\bigcup_{\lambda\in\Lambda}\Cl A_{\lambda}$ は $\bigcup_{\lambda\in\Lambda}A_{\lambda}$ を含む閉集合なので $\Cl\left(\bigcup_{\lambda\in\Lambda}A_{\lambda}\right)\subset \bigcup_{\lambda\in\Lambda}\Cl A_{\lambda}$ が成立します。
(3) 任意の $\lambda'\in \Lambda$ に対して $\Int A_{\lambda'}\subset \Int\left(\bigcup_{\lambda\in\Lambda}A_{\lambda}\right)$ です。
(4) 任意の $\lambda'\in \Lambda$ に対して $\Cl\left(\bigcap_{\lambda\in\Lambda}A_{\lambda}\right)\subset \Cl A_{\lambda'}$ です。
特に触れなかった条件については必ずしも逆の包含関係は成立しません。
閉包をとる操作と和集合をとる操作の可換性は次に定義する局所有限という仮定の下でも成立します $($命題2.1.19$)$。
$(X, \mathcal{O})$ を位相空間、$\mathcal{A} = \{A_{\lambda}\}_{\lambda\in\Lambda}$ をその部分集合族とする。部分集合族 $\mathcal{A}$ が局所有限であるとは、任意の点 $x\in X$ に対してある開集合 $U$ であって $x\in U$ かつ集合\[\{\lambda\in\Lambda\mid U\cap A_{\lambda}\neq \varnothing\}\]が有限集合となるものが存在することと定める要するに、点 $x$ の周囲には実質有限個の $A_{\lambda}$ しかないということ。。また、単に $1$ 点 $x\in X$ 対して同様の条件を満たす開集合 $U$ が存在することを部分集合族 $\mathcal{A}$ は $x$ において局所有限であるという。
$(X, \mathcal{O})$ を位相空間とする。
(1) $U\cap \Cl(U\cap A)\subset U\cap \Cl A$ は明らかなので、逆の包含関係を示します。$x\in U\cap \Cl A$ とします。$x\in \Cl A$ より $x\in V$ を満たす任意の開集合 $V$ に対して $V\cap (U\cap A) = (V\cap U)\cap A\neq \varnothing$ であり、$x$ は $U\cap A$ の触点です。よって、$x\in U\cap \Cl(U\cap A)$ であり、$U\cap \Cl A\subset U\cap \Cl(U\cap A)$ が確かめられました。
(2) $U\cap \bigcup_{\lambda\in\Lambda}\Cl(U\cap A_{\lambda}) = \bigcup_{\lambda\in\Lambda}U\cap \Cl(U\cap A_{\lambda}) = \bigcup_{\lambda\in\Lambda}U\cap \Cl A_{\lambda} = U\cap \bigcup_{\lambda\in\Lambda}\Cl A_{\lambda}$ です。真ん中の等号に(1)を使用。
(3) $U\cap \Cl\left(\bigcup_{\lambda\in\Lambda}(U\cap A_{\lambda})\right) = U\cap \Cl\left(U\cap \bigcup_{\lambda\in\Lambda}A_{\lambda}\right) = U\cap \Cl\left(\bigcup_{\lambda\in\Lambda}A_{\lambda}\right)$ です。後ろの等号に(1)を使用。
$(X, \mathcal{O})$ を位相空間、$\{A_{\lambda}\}_{\lambda\in\Lambda}$ をその局所有限な部分集合族とする。このとき、\[\bigcup_{\lambda\in\Lambda}\Cl A_{\lambda} = \Cl\left(\bigcup_{\lambda\in\Lambda}A_{\lambda}\right)\]が成立する。よって、閉集合による局所有限な部分集合族 $\{A_{\lambda}\}_{\lambda\in\Lambda}$ に対し、和集合 $\bigcup_{\lambda\in\Lambda}A_{\lambda}$ は閉集合である。
各点 $x\in X$ に対して $x\in \bigcup_{\lambda\in\Lambda}\Cl A_{\lambda}\Leftrightarrow x\in \Cl\left(\bigcup_{\lambda\in\Lambda}A_{\lambda}\right)$ であることを示します。$x\in X$ を固定し、$x\in U$ かつ $\{\lambda\in \Lambda\mid U\cap A_{\lambda}\neq \varnothing\}$ が有限集合となる開集合 $U$ を取ります。補題2.1.18より\[U\cap \bigcup_{\lambda\in\Lambda}\Cl A_{\lambda} = U\cap \bigcup_{\lambda\in\Lambda}\Cl (U\cap A_{\lambda}),\]\[U\cap \Cl\left(\bigcup_{\lambda\in\Lambda}A_{\lambda}\right) = U\cap \Cl\left(\bigcup_{\lambda\in\Lambda}(U\cap A_{\lambda})\right)\]ですが、$U$ の取り方から $U\cap A_{\lambda}\neq \varnothing$ となる $\lambda\in \Lambda$ は高々有限個なので、命題2.1.15より\[\bigcup_{\lambda\in\Lambda}\Cl (U\cap A_{\lambda}) = \Cl\left(\bigcup_{\lambda\in\Lambda}(U\cap A_{\lambda})\right)\]です。よって、$U\cap \bigcup_{\lambda\in\Lambda}\Cl A_{\lambda} = U\cap \Cl\left(\bigcup_{\lambda\in\Lambda}A_{\lambda}\right)$ なので、示したかった $x\in \bigcup_{\lambda\in\Lambda}\Cl A_{\lambda}\Leftrightarrow x\in \Cl\left(\bigcup_{\lambda\in\Lambda}A_{\lambda}\right)$ が示されました。各 $A_{\lambda}$ が閉集合のとき、\[\bigcup_{\lambda\in\Lambda}A_{\lambda} = \bigcup_{\lambda\in\Lambda}\Cl A_{\lambda} = \Cl\left(\bigcup_{\lambda\in\Lambda}A_{\lambda}\right)\]より和集合は閉集合です。
位相空間 $(X, \mathcal{O})$ の各点 $x\in X$ に対してその近傍や近傍系を定義します。これらは位相空間の局所的な状況を見る際に重要となります。
$(X, \mathcal{O})$ を位相空間とする。
集合 $X$ 上に与えられた複数の開集合系が互いに等しいことを確かめるためには、次のような適当に取った基本近傍系についての条件を確認すれば十分であることが知られています。
$X$ を集合、$\mathcal{O}, \mathcal{O}'$ をその開集合系とする。それぞれの開集合系について各点 $x\in X$ での基本近傍系 $\mathcal{V}_{x}$, $\mathcal{V}'_{x}$ を固定する。このとき次は同値である。
(1) ⇒ (2) 明らかです。
(2) ⇒ (1) 任意の $U\in \mathcal{O}$ に対して $U\in \mathcal{O}'$ であることを(i)のみを用いて示します。各点 $x\in U$ に対して $U$ は $x$ の近傍なので、ある $V_{x}\in \mathcal{V}_{x}$ であって $V_{x}\subset U$ となるものが取れます。また、仮定の(i)よりある $V'_{x}\in \mathcal{V}'_{x}$ であって $V'_{x}\subset V_{x}$ となるものが取れます。開集合系 $\mathcal{O}'$ に対する内部を $\Int'$ により表すとして、各 $x\in U$ に対して $x\in \Int' V'_{x}\subset U$ であることから\[U = \bigcup_{x\in U}\Int' V'_{x}\]であり、$U\in \mathcal{O}'$ です。よって、$\mathcal{O}\subset \mathcal{O}'$ が分かりました。
同様に、(ii)から $\mathcal{O}'\subset \mathcal{O}$ が従い、$\mathcal{O} = \mathcal{O}'$ です。
$X$ を集合、$\mathcal{O}, \mathcal{O}'$ をその開集合系とする。それぞれの開集合系について、各点 $x\in X$ での近傍系を $\mathcal{U}_{x}$, $\mathcal{U}'_{x}$ とする。このとき次は同値である。
(1) ⇒ (2) 明らかです。
(2) ⇒ (1) 近傍系は基本近傍系なので、命題2.1.22より直ちに従います。
Euclid空間にはノルム $\|\cdot\| : \R^{m}\to \R$ を各 $x = (x_{1}, \dots, x_{m})\in \R^{m}$ に対して\[\|x\| := \sqrt{x_{1}^{2} + \dots + x_{m}^{2}}\]とすることで与え、これをもとに開集合系 $\mathcal{E}^{m}$ を定義していました。そして、各点 $x$ における基本開近傍系として\[\mathcal{V}_{x} = \{O_{r}(x)\mid r\in \R, \ r > 0\}\]を考えることができました。
いま、新たに写像 $\|\cdot\|_{\infty} : \R^{m}\to \R$ を\[\|x\|_{\infty} := \max\{|x_{1}|, \dots, |x_{m}|\}\]により定めます。これは $\|\cdot\|$ と同様の性質 $($命題1.7.5$)$
を満たしており、一様ノルムや最大値ノルム、$\infty$-ノルムといいます。そして、$\|\cdot\|$ の場合と全く同様に、この一様ノルムを用いることで $\R^{m}$ の開集合系 $\mathcal{E}_{\infty}^{m}$ が構成され、各点 $x$ における基本開近傍系として\[\mathcal{V}'_{x} := \{O'_{r}(x)\mid r\in \R, \ r > 0\}\]を取ることができます。ただし、$O'_{r}(x)$ は\[O'_{r}(x) := \{y\in\R^{m}\mid \|y - x\|_{\infty} < r\}\]により定義します。
以上より、Euclid空間の $2$ つの位相 $\mathcal{E}^{m}$ と $\mathcal{E}_{\infty}^{m}$ が得られましたが、任意の $r > 0$ に対して\[O'_{r/m}(x)\subset O_{r}(x),\]\[O_{r}(x)\subset O'_{r}(x)\]が成立するので、命題2.1.22より $\mathcal{E}^{m} = \mathcal{E}_{\infty}^{m}$ であることが従います。
位相空間 $(X, \mathcal{O})$ が与えられたとき、各点での近傍系 $\mathcal{U}_{x}$ による族 $\{\mathcal{U}_{x}\}_{x\in X}$ は次の $5$ つの条件を満たしますが、その逆として、条件を満たす族から開集合系が一意に定まります。
集合 $X$ に対して $X$ 自身を添字集合とする $X$ の部分集合族 $\mathcal{U}_{x}$ による族 $\{\mathcal{U}_{x}\}_{x\in X}$ が与えられ、以下の条件を満たしているとする。
このとき、$X$ の開集合系 $\mathcal{O}$ であって、各点での近傍系を $\mathcal{U}_{x}$ とするものが一意に存在する。
$\mathcal{O}$ を部分集合 $U\subset X$ であって次の条件(C)を満たすもの全体からなる集合族として定めます。
以下のことを順に示せばよいです。
(step 1) $\varnothing\in \mathcal{O}$ は自明です。$X\in \mathcal{O}$ を示します。$x\in X$ とします。(i)の $\mathcal{U}_{x}\neq \varnothing$ よりその元 $U'$ を取ることができますが、明らかに $U'\subset X$ です。よって、$X$ は条件(C)を満たすので $X\in \mathcal{O}$ です。
(step 2) 部分集合 $\mathcal{U}\subset \mathcal{O}$ を取り、$x\in \bigcup_{U\in \mathcal{U}} U$ とします。$U_{x}\in \mathcal{U}$ であって $x\in U_{x}$ を満たすものを取るとき、この $U_{x}$ は条件(C)を満たすので $U'\in \mathcal{U}_{x}$ かつ $U'\subset U_{x}$ を満たすものが存在します。この $U'$ に対して $U'\in \mathcal{U}_{x}$ かつ $U'\subset \bigcup_{U\in \mathcal{U}} U$ が成立しています。よって、$\bigcup_{U\in \mathcal{U}}U$ は条件(C)を満たし $\bigcup_{U\in \mathcal{U}}U\in \mathcal{O}$ です。
(step 3) 有限部分集合 $\mathcal{U}\subset \mathcal{O}$ を取り、$x\in \bigcap_{U\in \mathcal{U}} U$ とします。各 $U\in \mathcal{U}$ が条件(C)を満たすことから、それぞれに対して $V_{U}\in \mathcal{U}_{x}$ であって $V_{U}\subset U$ を満たすものを取ります。$\{V_{U}\mid U\in \mathcal{U}\}$ は $\mathcal{U}_{x}$ の有限部分集合なので(iv)より $\bigcap_{U\in\mathcal{U}}V_{U}\in \mathcal{U}_{x}$ です。また、明らかに $\bigcap_{U\in\mathcal{U}}V_{U}\subset \bigcap_{U\in\mathcal{U}}U$ を満たします。よって、$\bigcap_{U\in\mathcal{U}}U$ は条件(C)を満たし $\bigcap_{U\in\mathcal{U}}U\in \mathcal{O}$ です。
(step 4) $V\in \mathcal{V}_{x}$ とします。近傍の定義より $x\in \Int V\in \mathcal{O}$ であり、$\Int V$ が条件(C)を満たすことから $V'\in \mathcal{U}_{x}$ かつ $V'\subset \Int V$ を満たす $V'$ が存在します。この $V'$ に対して(iii)を使用し $V\in \mathcal{U}_{x}$ が従います。
(step 5) $U\in \mathcal{U}_{x}$ とします。(v)により $V\in \mathcal{U}_{x}$ であって任意の $y\in V$ に対して $U\in \mathcal{U}_{y}$ となるものを取ります。この $V$ が $V\subset U$ を満たす $x$ の開近傍であることを示します。
まず $V\subset U$ であることは、$y\in V$ に対して $U\in \mathcal{U}_{y}$ であることと(ii)より $y\in U$ なので従います。また、$x\in V$ であることも同じく $V\in \mathcal{U}_{x}$ と(ii)から分かります。
後は $V\in \mathcal{O}$ であること、つまり、条件(C)を満たすことを示せばよいです。$y\in V$ とします。(v)により $V'\in \mathcal{U}_{y}$ であって任意の $z\in V'$ に対して $V\in \mathcal{U}_{z}$ を満たすものを取ります。(ii)より $y\in V'$ なので、$z = y$ として $V\in \mathcal{U}_{y}$ が従います。$V\subset V$ は自明です。よって、$V$ は条件(C)を満たします。
(step 6) 系2.1.23より明らかです。
従って、集合 $X$ に対して位相 $\mathcal{O}$ を与えることは上記の $5$ 条件を満たす族 $\{\mathcal{U}_{x}\}_{x\in X}$ を与えることと本質的な差は無いことが分かりました。
固定した集合 $X$ の位相たちの間の包含関係はよく次のように呼ばれます。
$X$ を集合 $\mathcal{O}, \mathcal{O}'$ をその位相とする。$\mathcal{O}\subset \mathcal{O}'$ が成立するとき、位相 $\mathcal{O}$ は位相 $\mathcal{O}'$ より弱い、位相 $\mathcal{O}'$ は位相 $\mathcal{O}$ より強いといい「より」というと真部分集合になっている、つまり、$\mathcal{O}\neq \mathcal{O}'$ も意味しそうですが、[松坂 集合・位相入門]など等号成立時にこのように呼ぶテキストも多いみたいなのでここではそれにならいます。、$\mathcal{O}\leq \mathcal{O}'$ と書きます。
例えば、密着位相 $\{\varnothing, X\}$ は $X$ の任意の位相と比較して弱い位相 $($最弱の位相$)$ であり、離散位相 $2^{X}$ は $X$ の任意の位相と比較して強い位相 $($最強の位相$)$ になります。
次は位相による族の共通部分がまた位相になり、位相の強弱に関する順序関係について下限を与えることを意味します。
$X$ を集合、$\{\mathcal{O}_{\lambda}\}_{\lambda\in\Lambda}$ を $X$ の位相の族とし、共通部分 $\mathcal{O} := \bigcap_{\lambda\in\Lambda}\mathcal{O}_{\lambda}$ を考える。次が成立する。
(1) $\varnothing, X\in \mathcal{O}$ は明らかです。部分集合 $\mathcal{U}\subset \mathcal{O}$ を取るとき、各 $\lambda\in \Lambda$ に対して $\mathcal{U}\subset \mathcal{O}_{\lambda}$ であり、$\bigcup_{U\in\mathcal{U}}U\in \mathcal{O}_{\lambda}$ となるので $\bigcup_{U\in\mathcal{U}}U\in \mathcal{O}$ です。有限部分集合 $\mathcal{U}\subset \mathcal{O}$ に対して $\bigcap_{U\in\mathcal{U}}U\in \mathcal{O}$ であることも同様です。
(2) 明らかです。
そして、次はこの逆で、位相の族に対してその上限に当たる位相の存在を与えます。
$X$ を集合、$\{\mathcal{O}_{\lambda}\}_{\lambda\in\Lambda}$ を $X$ の位相の族とする。$\mathfrak{O}$ を $X$ の位相 $\mathcal{O}'$ であって任意の $\lambda\in \Lambda$ に対して $\mathcal{O}_{\lambda}\leq \mathcal{O}'$ を満たすもの全体からなる集合とし、その共通部分として位相 $\mathcal{O}$ を定めるとする。$X$ の位相 $\mathcal{O}'$ が任意の $\lambda\in \Lambda$ に対して $\mathcal{O}_{\lambda}\leq \mathcal{O}'$ を満たすならば $\mathcal{O}\leq \mathcal{O}'$ が成立する。
命題2.1.27より明らかです。
半順序集合であって任意の部分集合に上限と下限が存在するものを完備束といいますが、以上により固定した集合 $X$ の位相全体からなる集合は位相の強弱に関して完備束をなしていることが分かります。
集合 $X$ の部分集合族 $\mathcal{A}$ に対して命題2.1.28と同様のアイデアより、それを含む最弱の位相が構成されます。
$\mathcal{A}$ を集合 $X$ の部分集合族とし、$\mathfrak{O}$ を $\mathcal{A}\subset \mathcal{O}'$ を満たす $X$ の位相 $\mathcal{O}'$ 全体からなる集合とする。$\mathfrak{O}$ の共通部分として定まる位相を $\mathcal{A}$ の生成する位相といい、ここでは $\mathcal{O}(\mathcal{A})$ と書く。
任意の位相 $\mathcal{O}'$ に対し、$\mathcal{A}\subset \mathcal{O}'$ ならば $\mathcal{O}(\mathcal{A})\leq \mathcal{O}'$ である。
$\mathcal{O}(\mathcal{A})$ の定義から明らかに $\mathcal{O}(\mathcal{A})\subset \mathcal{O}'$ です。
$X$ の部分集合族 $\mathcal{A}$ の生成する位相 $\mathcal{O}(\mathcal{A})$ を命題2.1.27の形の存在命題から与えましたが、次のような具体的な構成も重要です。
$\mathcal{A}$ を集合 $X$ の部分集合族とする。$\mathcal{A}$ の元の高々有限個の共通部分として表される集合による部分集合族\[\mathcal{A}' := \left\{\bigcap_{V\in \mathcal{V}}V\relmid \mathcal{V}\subset \mathcal{A}, \ \#\mathcal{V} < +\infty\right\}\]を取り、さらに部分集合族 $\mathcal{O}$ を $\mathcal{A}'$ の元の和集合として表される集合全体\[\mathcal{O} := \left\{\bigcup_{V'\in \mathcal{V}'}V'\relmid \mathcal{V}'\subset \mathcal{A}'\right\}\]として定める。このとき、$\mathcal{O} = \mathcal{O}(\mathcal{A})$ である。
まず、$\mathcal{O}$ が位相を定めていることを示します。$\varnothing\in \mathcal{O}$ は $\varnothing\subset \mathcal{A}'$ に対して和を取ればよく、$X\in \mathcal{O}$ は $\varnothing\subset \mathcal{A}$ に対して共通部分を取ればよいです。部分集合 $\mathcal{U}\subset \mathcal{O}$ に対して $\bigcup_{U\in \mathcal{U}}U\in \mathcal{O}$ は明らかです。
$U_{1}, U_{2}\in \mathcal{O}$ を取り、$U_{1}\cap U_{2}\in \mathcal{O}$ を示します。各 $U_{i}$ に対して部分集合 $\mathcal{V}'_{i}\subset \mathcal{A}'$ を $U_{i} = \bigcup_{V'\in\mathcal{V}'_{i}}V'$ を満たすように取ります。このとき、\[U_{1}\cap U_{2} = \left(\bigcup_{V'\in\mathcal{V}'_{1}}V'\right)\cap \left(\bigcup_{V'\in\mathcal{V}'_{2}}V'\right) = \bigcup_{(V'_{1}, V'_{2})\in \mathcal{V}'_{1}\times \mathcal{V}'_{2}}(V'_{1}\cap V'_{2})\]です。$V'_{1}\cap V'_{2}$ は $V'_{1}, V'_{2}\in \mathcal{A}'$ から直ちに $\mathcal{A}'$ の元であることが分かり、$U_{1}\cap U_{2}\in \mathcal{O}$ です。以上により $\mathcal{O}$ は $X$ の位相を定めます。
$\mathcal{O}(\mathcal{A})\subset \mathcal{O}$ は $\mathcal{A}\subset \mathcal{O}$ と生成位相の最小性から従います。
$\mathcal{O}\subset \mathcal{O}(\mathcal{A})$ を示します。$U\in \mathcal{O}$ とします。$\mathcal{O}$ の定義より、部分集合 $\mathcal{V}'\subset \mathcal{A}'$ であって $U = \bigcup_{V'\in\mathcal{V}'}V'$ となるものが取れます。そして、各 $V'\in \mathcal{V}'$ に対してある有限部分集合 $\mathcal{V}_{V'}\subset \mathcal{A}$ が存在して $V' = \bigcap_{V\in \mathcal{V}_{V'}}V$ です。$\mathcal{A}\subset \mathcal{O}(\mathcal{A})$ なので、各 $V'\subset \mathcal{V}'$ に対して $V' = \bigcap_{V\in\mathcal{V}_{V'}}V\in \mathcal{O}(\mathcal{A})$ であり、$U = \bigcup_{V'\in\mathcal{V}'}V'\in \mathcal{O}(\mathcal{A})$ です。
以上により $\mathcal{O} = \mathcal{O}(\mathcal{A})$ です。
与えられた位相に対してそれを生成するような部分集合族として準開基と開基を導入します。
$(X, \mathcal{O})$ を位相空間とする。
集合 $X$ の部分集合族 $\mathcal{A}$ により生成される位相 $\mathcal{O}(\mathcal{A})$ に対し、当然 $\mathcal{A}$ 自身は準開基であり、命題2.1.32のように定義した $\mathcal{A}'$ は開基になります。
基本開近傍系との関係として次のことが挙げられます。
$(X, \mathcal{O})$ を位相空間とする。次が成立する。
(1) $U\in \mathcal{O}$ とします。各点 $x\in U$ に対して $U_{x}\subset U$ となる $U_{x}\in \mathcal{V}_{x}$ を取れば、もちろん常に $U_{x}\in \mathcal{A}$ であり、$U = \bigcup_{x\in U}U_{x}$ です。よって、$\mathcal{A}$ は開基です。
(2) $x\in X$ とその近傍 $U_{x}$ を取ります。ある部分集合 $\mathcal{U}\subset \mathcal{A}$ であって $\Int U_{x} = \bigcup_{U\in\mathcal{U}}U$ となるものが取れます。$x\in U$ となる $U\in \mathcal{U}$ を取ればそれは $\mathcal{V}_{x}$ に属し、$U\subset U_{x}$ を満たします。よって、$\mathcal{V}_{x}$ は基本開近傍系です。
集合 $X$ 上の位相どうしを比較するために次は基本的です。
集合 $X$ とその上の位相 $\mathcal{O}_{1}, \mathcal{O}_{2}$ について次が成立する。
(1) 命題2.1.35より、各点 $x\in X$ に対して\[\mathcal{V}_{i, x} := \{A\in \mathcal{A}_{i}\mid x\in A\}\]は $\mathcal{O}_{i}$ に関する $x$ の基本開近傍系です。任意の $x\in X$ と $A\in \mathcal{V}_{1,x}$ に対して $A'\subset A$ となる $A'\subset \mathcal{V}_{2,x}$ が存在するので、命題2.1.22の証明より $\mathcal{O}_{1}\subset \mathcal{O}_{2}$ です。
(2) 命題2.1.32の要領で開基 $\mathcal{A}'_{1}, \mathcal{A}'_{2}$ を構成すれば、これは(1)の仮定を満たします。よって、$\mathcal{O}_{1}\subset \mathcal{O}_{2}$ です。
与えられた位相空間から新たな位相空間を構成する基本的な手法についてまとめます。
$(X, \mathcal{O})$ を位相空間とします。このとき、$X$ の部分集合 $A$ には $X$ に与えた位相から誘導される位相が存在します。
$(X, \mathcal{O})$ を位相空間とします。$X$ の部分集合 $A\subset X$ に対してその位相 $\mathcal{O}_{A}$ が\[\mathcal{O}_{A} := \{U\cap A\mid U\in \mathcal{O}\}\]により定まる。これを相対位相といい、部分集合 $A$ との対 $(A, \mathcal{O}_{A})$ を部分空間と呼ぶ。
$\varnothing, X\in \mathcal{O}$ より $\varnothing \cap A = \varnothing$, $X\cap A = A$ は $\mathcal{O}_{A}$ に属します。
$\mathcal{V}$ を $\mathcal{O}_{A}$ の部分集合とします。各 $V\in \mathcal{V}$ に対して $V = U\cap A$ となる $U\in \mathcal{O}$ を固定し、$U_{V}$ と表すことにします。このとき、\[\bigcup_{V\in\mathcal{V}}V = \bigcup_{V\in\mathcal{V}}A\cap U_{V} = A\cap \bigcup_{V\in\mathcal{V}}U_{V}\]であり、$\bigcup_{V\in\mathcal{V}}U_{V}\in \mathcal{O}$ より $\bigcup_{V\in\mathcal{V}}V\in \mathcal{O}_{A}$ です。
同様に有限部分集合 $\mathcal{V}\subset \mathcal{O}_{A}$ に対して\[\bigcap_{V\in\mathcal{V}}V = \bigcap_{V\in\mathcal{V}}A\cap U_{V} = A\cap \bigcap_{V\in\mathcal{V}}U_{V}\]であり、$\bigcap_{V\in\mathcal{V}}U_{V}\in \mathcal{O}$ より $\bigcap_{V\in\mathcal{V}}V\in \mathcal{O}_{A}$ です。
$(X, \mathcal{O})$ を位相空間、$A\subset X$ を部分空間とする。部分集合 $B\subset A\subset X$ に対して $X$ の部分集合として定めた相対位相 $\mathcal{O}_{B}$ と $A$ の部分集合として定めた相対位相 $\mathcal{O}_{B}'$ は一致する。
$V\in \mathcal{O}_{B}$ に対してある $X$ の開集合 $U$ であって $V = B\cap U$ となるものが取れますが、$B\cap U = B\cap (A\cap U)$ であり、$A\cap U$ が $A$ の開集合となるので $V\in \mathcal{O}_{B}'$ です。よって、$\mathcal{O}_{B}\subset \mathcal{O}_{B}'$ です。
$V\in \mathcal{O}_{B}'$ とします。ある $A$ の開集合 $U'$ であって $V = B\cap U'$ となるものが取れますが、この $U'$ に対して $X$ の開集合 $U$ であって $U' = A\cap U$ となるものを取ることができ、よって、$V = B\cap (A\cap U) = B\cap U$ であり $V\in \mathcal {O}_{B}$ です。よって、逆の包含関係 $\mathcal{O}_{B}'\subset \mathcal{O}_{B}$ も示され $\mathcal{O}_{B} = \mathcal{O}_{B}'$ です。
位相空間の族 $\{(X_{\lambda}, \mathcal{O}_{\lambda})\}_{\lambda\in\Lambda}$ が与えられたとき、直積集合には以下のように位相が定義されます。
位相空間の族 $\{(X_{\lambda}, \mathcal{O}_{\lambda})\}_{\lambda\in\Lambda}$ が与えられたとする。直積集合 $\prod_{\lambda\in\Lambda}X_{\lambda}$ の部分集合であって\[U_{\mu}\times \prod_{\lambda\neq\mu}X_{\lambda} = \{(x_{\lambda})_{\lambda\in\Lambda}\mid x_{\mu}\in U_{\mu}\} \ (\mu\in \Lambda, \ U_{\mu}\in \mathcal{O}_{\mu})\]という形のもの全体からなる部分集合族 $\mathcal{A}$ により生成する位相 $\mathcal{O}(\mathcal{A})$ を直積位相という。直積位相により定まる位相空間を直積空間と呼ぶ。
射影 $\pr_{\mu}$ と開集合 $U_{\mu}\subset X_{\mu}$ について\[\pr_{\mu}^{-1}(U_{\mu}) = U_{\mu}\times \prod_{\lambda\neq\mu}X_{\lambda}\]です。つまり、直積位相は $\pr_{\mu}^{-1}(U_{\mu})$ という形の集合により生成する位相です。
いま、直積位相を準開基を与えることで定義したのですが、次の開基を考えることも多いです。
位相空間の族 $\{(X_{\lambda}, \mathcal{O}_{\lambda})\}_{\lambda\in\Lambda}$ が与えられたとする。直積集合 $\prod_{\lambda\in\Lambda}X_{\lambda}$ の部分集合であって\[\prod_{\mu\in M}U_{\mu}\times \prod_{\lambda\in \Lambda\setminus M}X_{\lambda} = \{(x_{\lambda})_{\lambda\in\Lambda}\mid x_{\mu}\in U_{\mu} \text{ for all } \mu\in M\} \ (M\subset \Lambda, \ \#M < + \infty, \ U_{\mu}\in \mathcal{O}_{\mu})\]という形のもの全体からなる部分集合族 $\mathcal{A}'$ は直積位相 $\mathcal{O}(\mathcal{A})$ の開基である。
$(X, \mathcal{O}_{X}), (Y, \mathcal{O}_{Y})$ を位相空間とする。
(1) まず、$\mathcal{V}_{(x, y)}$ の各元が直積空間の開集合であることは明らかです。$A\subset X\times Y$ を $(x, y)$ の近傍とします。ある $x\in X$ の開近傍 $U'$ と $y\in Y$ の開近傍 $V'$ が存在して $U'\times V'\subset A$ となります。$U\subset U'$ となる $U\in \mathcal{V}_{X, x}$ と $V\subset V'$ となる $V\in \mathcal{V}_{Y, y}$ を取れば $U\times V\in \mathcal{V}_{(x, y)}$ かつ $U\times V\subset A$ です。よって、$\mathcal{V}_{(x, y)}$ は $(x, y)$ の基本開近傍系です。
(2) 命題2.1.35と(1)より明らかです。
$n$ 次元Euclid空間の通常の位相を $\mathcal{E}^{n}$ と書くことにします。$m$ 次元Euclid空間 $(\R^{m}, \mathcal{E}^{m})$ と $n$ 次元Euclid空間 $(\R^{n}, \mathcal{E}^{n})$ の直積位相 $\mathcal{E}'$ は $n + m$ 次元Euclid空間の通常の位相 $\mathcal{E}^{n + m}$ に一致します。
$z = (x, y)\in \R^{n + m}$ における基本開近傍系を適当に取り、それを比べます。
$x\in \R^{n}$ の基本開近傍系 $\mathcal{V}_{x} := \{O_{r, \R^{n}}(x)\mid r\in \R, \ r > 0\}$ と $y\in \R^{m}$ の基本開近傍系 $\mathcal{V}_{y} := \{O_{r, \R^{m}}(y)\mid r\in \R, \ r > 0\}$ を取ります。補題2.1.42より\[\mathcal{V}'_{z} := \{O_{s}(x)\times O_{t}(y)\mid s, t\in \R, \ s, t > 0\}\]が直積位相 $\mathcal{E}'$ に関する $z$ の基本開近傍系です$s = t$ となるもののみを集めても基本開近傍系になりますが、今回はこれで。。
$n + m$ 次元Euclid空間 $(\R^{n + m}, \mathcal{E}^{n + m})$ における $z\in \R^{n + m}$ の基本近傍系 $\mathcal{V}_{z} := \{O_{r, \R^{n + m}}(z)\mid r\in \R, \ r > 0\}$ を考えるとき、常に\[O_{r/2, \R^{n}}(x)\times O_{r/2, \R^{m}}(y)\subset O_{r, \R^{n + m}}(z),\]\[O_{\min\{s, t\}, \R^{n + m}}(z)\subset O_{s, \R^{n}}(x)\times O_{t, \R^{m}}(y)\]が成立するので命題2.1.22より $\mathcal{E}' = \mathcal{E}^{n + m}$ です。
位相空間の族 $\{(X_{\lambda}, \mathcal{O}_{\lambda})\}_{\lambda\in\Lambda}$ が与えられたとき、直積集合 $\prod_{\lambda\in\Lambda}X_{\lambda}$ の部分集合であって\[\prod_{\lambda\in\Lambda}U_{\lambda} \ (U_{\lambda}\in \mathcal{O}_{\lambda} \text{ for all } \lambda\in \Lambda)\]という形のもの全体からなる部分集合族 $\mathcal{A}$ により生成する位相 $\mathcal{O}(\mathcal{A})$ を箱位相といいます。容易に分かるようにこの $\mathcal{A}$ は開基になっています。
直積位相を $\mathcal{O}_{\mathrm{prod}}$、箱位相 $\mathcal{O}_{\mathrm{box}}$ と書くとすれば、常に $\mathcal{O}_{\mathrm{prod}}\leq \mathcal{O}_{\mathrm{box}}$ が成立し、もしこれが高々有限個の直積 $($$\#\Lambda < +\infty$$)$ であれば $\mathcal{O}_{\mathrm{prod}} = \mathcal{O}_{\mathrm{box}}$ が成立しますちなみに、$\mathcal{O}_{\mathrm{prod}}\neq \mathcal{O}_{\mathrm{box}}$ であることの必要十分条件は、任意の $\lambda\in \Lambda$ に対して $X_{\lambda}\neq \varnothing$ が成立し、かつ、無限個の $\lambda\in \Lambda$ に対して $\mathcal{O}_{\lambda}$ が密着位相でないことです。。
位相空間の族 $\{(X_{\lambda}, \mathcal{O}_{\lambda})\}_{\lambda\in\Lambda}$ が与えられたとき、直和集合には以下のように位相が定義されます。
位相空間の族 $\{(X_{\lambda}, \mathcal{O}_{\lambda})\}_{\lambda\in\Lambda}$ が与えられたとする。$\mathcal{A} := \bigcup_{\lambda\in \Lambda}\mathcal{O}_{\lambda}$ により生成する直和集合 $\bigsqcup_{\lambda\in\Lambda}X_{\lambda}$ の位相 $\mathcal{O}(\mathcal{A})$ を直和位相という。直和位相により定まる位相空間を直和空間と呼ぶ。
位相空間の族 $\{(X_{\lambda}, \mathcal{O}_{\lambda})\}_{\lambda\in\Lambda}$ が与えられたとする。次が成立する。
(1) $U, V\in \mathcal{\mathcal{A}}$ とすると、$U\in \mathcal{O}_{\lambda}$, $V\in \mathcal{O}_{\mu}$ となる $\lambda,\mu\in \Lambda$ が一意に存在します。$\lambda = \mu$ ならば $U\cap V\in \mathcal{O}_{\lambda}\subset \mathcal{A}$ であり、$\lambda\neq \mu$ ならば $U\cap V = \varnothing\in \mathcal{A}$ です。よって、\[\mathcal{A}' := \left\{\bigcap_{V\in \mathcal{V}}V\relmid \mathcal{V}\subset \mathcal{A}, \ \#\mathcal{V} < +\infty\right\}\]は $\mathcal{A}$ に一致し、命題2.1.32より $\mathcal{A}$ は開基です。
(2) (1)より明らかです。
(3) 明らかです。
以上です。
具体例をもう少し増やしたいです。
参考文献
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