まず、一般の位相空間の間の写像に対してその連続性を定義します。
$(X, \mathcal{O}_{X})$, $(Y, \mathcal{O}_{Y})$ を位相空間とし、$f : X\to Y$ を写像とする。写像 $f$ が連続であるとは、任意の $Y$ の開集合 $V\in \mathcal{O}_{Y}$ に対してその $f$ による逆像 $f^{-1}(V)$ が $X$ の開集合 $($つまり、$f^{-1}(V)\in \mathcal{O}_{X}$$)$ であることと定める。位相空間 $X$ から $Y$ への連続写像全体からなる集合を $C(X, Y)$ と書く。
連続写像は閉集合の逆像が閉集合であることでも特徴付けられます。
$X, Y$ を位相空間とし、$f : X\to Y$ を写像とする。次は同値である。
(1) ⇒ (2) $F$ を $Y$ の閉集合とします。このとき、$f^{-1}(F) = f^{-1}(F^{c})^{c}$ ですが、$F^{c}$ が $Y$ の開集合なので $f^{-1}(F^{c})$ は $X$ の開集合であり、よって、$f^{-1}(F)$ は $X$ の閉集合です。
(2) ⇒ (1) $V$ を $Y$ の開集合とします。このとき、$f^{-1}(V) = f^{-1}(V^{c})^{c}$ ですが、$V^{c}$ が $Y$ の閉集合なので $f^{-1}(V^{c})$ は $X$ の閉集合であり、よって、$f^{-1}(V)$ は $X$ の開集合となり、$f$ は連続です。
終域側の準開基が与えられている場合、連続写像かどうかを確かめるためには準開基の元に対してのみ逆像が開集合になっていることを確かめればよいです。
$X, Y$ を位相空間、$\mathcal{A}$ を $Y$ の準開基とする。写像 $f : X\to Y$ について次は同値である。
(1) ⇒ (2) 明らかです。
(2) ⇒ (1) $Y$ の部分集合族 $\mathcal{A}'$ を\[\mathcal{A}' := \left\{\bigcap_{V\in \mathcal{V}}V\relmid \mathcal{V}\subset \mathcal{A}, \ \#\mathcal{V} < +\infty\right\}\]により定めます。任意の $V'\in \mathcal{A}'$ に対し、$V' = \bigcap_{V\in \mathcal{V}}V$ となる有限部分集合 $\mathcal{V}\subset \mathcal{A}$ を固定すれば、$f^{-1}(V') = \bigcap_{V\in \mathcal{V}}f^{-1}(V)$ なので $f^{-1}(V')$ は開集合です。
$U\subset Y$ を開集合とします。ある部分集合 $\mathcal{V}'\subset \mathcal{A}'$ であって $U = \bigcup_{V'\in\mathcal{V}'}V'$ となるものを取れば、$f^{-1}(U) = \bigcup_{V'\in\mathcal{V}'}f^{-1}(V')$ であるので $f^{-1}(U)$ は開集合です。よって、$f$ は連続です。
内部や閉包をとる操作に関連して次が成立します。
$X, Y$ を位相空間とし、$f : X\to Y$ を連続写像とする。このとき、次が成立する。
(1) $\Int B$ が開集合なので $f^{-1}(\Int B) = \Int f^{-1}(\Int B)\subset \Int f^{-1}(B)$ です。
(2) $\Cl B$ が閉集合なので $\Cl f^{-1}(B)\subset \Cl f^{-1}(\Cl B) = f^{-1}(\Cl B)$ です。
(2) 別証明も一応書いておきます。$B^{c}$ に対して(1)を適用して $f^{-1}(\Int B^{c})\subset \Int f^{-1}(B^{c})$ です。また、\[(\Int f^{-1}(B^{c}))^{c}\subset f^{-1}(\Int B^{c})^{c},\]\[f^{-1}(\Int B^{c})^{c} = f^{-1}((\Int B^{c})^{c}) = f^{-1}(\Cl B),\]\[(\Int f^{-1}(B^{c}))^{c} = \Cl(f^{-1}(B^{c})^{c}) = \Cl f^{-1}(B)\]が分かるので $\Cl f^{-1}(B)\subset f^{-1}(\Cl B)$ です。
(3) $a\in \Cl A$ として $f(a)\in \Cl f(A)$ を示せばよいです。$f(a)$ の任意の開近傍 $V$ に対して $f^{-1}(V)$ は $a$ の属する開集合であり、$a$ の開近傍です。よって、$a$ が $A$ の触点であることからある $a'\in A\cap f^{-1}(V)$ が取れます。$f(a')\in f(A)\cap V$ であり、$V$ は任意だったので $f(a)$ は $f(A)$ の触点であり、よって、$f(a)\in \Cl f(A)$ です。
命題2.2.5について、いずれも逆の包含関係は成立しません。
また、部分集合 $A\subset X$ について $f(\Int A)$ と $\Int f(A)$ の間の包含関係はどちら向きにも一般には成立しません。例えば、連続写像 $f : \R\to \R$ を $f(x) := \sin x$ と定め、$A := [0, \pi)\cup (\pi, 2\pi]$ とすると、\[f(\Int A) = f((0, \pi)\cup (\pi, 2\pi)) = [-1, 0)\cup (0, 1],\]\[\Int f(A) = \Int [-1, 1] = (-1, 1)\]であり、どちら向きの包含関係も成立していません。
各点での連続性を次で定義します。
$X, Y$ を位相空間、$f : X\to Y$ を写像とする。点 $x\in X$ について、$f(x)\in Y$ の任意の開近傍 $U$ の逆像 $f^{-1}(U)$ が $x$ の近傍 $($開である必要はない$)$ になるとき、$f$ は点 $x$ において連続であるという。
$X, Y$ を位相空間、$f : X\to Y$ を写像とする。次は同値である。
(1) ⇒ (2) 明らかです。
(2) ⇒ (1) $V$ を $Y$ の開集合とします。各点 $x\in f^{-1}(V)$ について $V$ は $f(x)$ の開近傍なので、ある $X$ の開集合 $U_{x}$ であって $x\in U_{x}\subset f^{-1}(V)$ となるものが取れます。これらの和集合が $f^{-1}(V)$ なので、それは開集合です。よって、$f$ は連続です。
連続写像が与えられたときにそこから新たな連続写像を構成する方法として基本的なものを紹介します。
$X, Y$ を位相空間、$A\subset X$ を部分空間とします。このとき、連続写像 $f : X\to Y$ の $A$ への制限 $f|_{A} : A\to Y$ も連続です。$V$ を $Y$ の開集合とすれば $f|_{A}^{-1}(V) = A\cap f^{-1}(V)$ ですが、相対位相の定義よりこれは $A$ の開集合であり、制限 $f|_{A}$ の連続性が分かります。
これにより、位相空間 $X$ とその部分空間 $A$ に対し、包含写像 $i : A\to X$ が連続写像であることが分かります包含写像は恒等写像の制限であり、恒等写像は $($始域と終域に同じ位相を考えていれば$)$ 連続でした。。
場合によっては終域側も制限して考えることがありますが、この場合も連続性が保たれます。例えば部分空間 $B\subset Y$ を $f(A)\subset B$ に取るときの制限 $f|_{A} : A\to B$ の連続性を考えます。$V'$ を $B$ の開集合とすれば、相対位相の定義より $Y$ の開集合 $V$ であって $V' = B\cap V$ となるものが取れるので、先ほど同様に $f|_{A}^{-1}(V') = A\cap f^{-1}(V)$ は開集合です。
連続写像 $f : X\to Y$ と $g : Y\to Z$ が与えられたとします。このとき、合成 $g\circ f : X\to Z$ も連続です。$V\subset Z$ を開集合とするとき、$g$ の連続性から $g^{-1}(V)$ は $Y$ の開集合、さらに、$f$ の連続性から $f^{-1}(g^{-1}(V)) = (g\circ f)^{-1}(V)$ は $X$ の開集合となるので確かめられました。
位相空間の族 $\{X_{\lambda}\}_{\lambda\in\Lambda}$ が与えられているとき、その直積空間 $\prod_{\lambda\in\Lambda}X_{\lambda}$ から各成分 $X_{\mu}$ への射影 $\pr_{\mu} : \prod_{\lambda\in\Lambda}X_{\lambda}\to X_{\mu}$ は連続です。$U_{\mu}$ を $X_{\mu}$ の開集合とすれば、$\pr_{\mu}^{-1}(U_{\mu}) = U_{\mu}\times \prod_{\lambda\neq\mu}X_{\lambda}$ の形であり、これは直積位相の定義から開集合です。よって、各射影が連続であることが分かりました。
次は直積空間への写像 $f : X\to \prod_{\lambda\in\Lambda}Y_{\lambda}$ の連続性が成分ごとに定まる写像 $f_{\lambda} : X\to Y_{\lambda}$ の連続性と同値であることを意味します。
位相空間の族 $\{Y_{\lambda}\}_{\lambda\in\Lambda}$ が与えられているとする。位相空間 $X$ から各 $Y_{\lambda}$ への連続写像による族 $\{f_{\lambda} : X\to Y_{\lambda}\}_{\lambda\in\Lambda}$ が与えられているとき、$X$ から直積空間への写像\[f := (f_{\lambda})_{\lambda\in\Lambda} : X\to \prod_{\lambda\in\Lambda}Y_{\lambda} : x\mapsto (f_{\lambda}(x))_{\lambda\in\Lambda}\]は連続である。逆に、$X$ から直積空間への連続写像 $f : X\to \prod_{\lambda\in\Lambda}Y_{\lambda}$ が与えられたとき、各 $\lambda\in \Lambda$ に対して $f_{\lambda} := \pr_{\lambda}\circ f$ とすることで連続写像の族 $\{f_{\lambda} : X\to Y_{\lambda}\}_{\lambda\in\Lambda}$ が得られる。この対応は可逆であり、全単射\[\prod_{\lambda\in\Lambda}C(X, Y_{\lambda})\to C\left(X, \prod_{\lambda\in\Lambda}Y_{\lambda}\right)\]が定まる。
連続写像の族 $\{f_{\lambda} : X\to Y_{\lambda}\}_{\lambda\in\Lambda}$ が与えられており、写像 $f$ を主張の通りに取ったとします。$\prod_{\lambda\in\Lambda}Y_{\lambda}$ は開集合 $U_{\lambda}\subset Y_{\lambda}$ を用いて $\pr_{\lambda}^{-1}(U_{\lambda})$ と表される部分集合からなる準開基を持つので、これらの逆像が開集合であることを調べれば命題2.2.4より $f$ の連続性が従います。$U_{\lambda}$ を $Y_{\lambda}$ の開集合とします。$f^{-1}(\pr_{\lambda}^{-1}(U_{\lambda})) = (\pr_{\lambda}\circ f)^{-1}(U_{\lambda}) = f_{\lambda}^{-1}(U_{\lambda})$ なので、これは $X$ の開集合です。
連続写像 $f : X\to \prod_{\lambda\in\Lambda}Y_{\lambda}$ が与えられているときに各 $\lambda\in \Lambda$ に対して $\pr_{\lambda}\circ f$ が連続であることは射影、合成の連続性から直ちに従います。
これらの対応が可逆であることなど、残りは明らかです。
いずれも命題2.2.9から明らかです。
同様に、直和空間からの写像 $f : \bigsqcup_{\lambda\in\Lambda}Y_{\lambda}\to X$ の連続性は各成分ごとに定まる写像 $f_{\lambda} : Y_{\lambda}\to X$ の連続性と同値です。
位相空間の族 $\{Y_{\lambda}\}_{\lambda\in\Lambda}$ が与えられているとする。各 $Y_{\lambda}$ から位相空間 $X$ への連続写像による族 $\{f_{\lambda} : Y_{\lambda}\to X\}_{\lambda\in\Lambda}$ が与えられているとき、直和空間から $X$ への写像\[f := \bigsqcup_{\lambda\in\Lambda}f_{\lambda} : \bigsqcup_{\lambda\in\Lambda}Y_{\lambda}\to X: y\mapsto f_{\lambda}(y) \ (\text{if } y\in Y_{\lambda})\]は連続である。逆に、直和空間から $X$ への連続写像 $f : \bigsqcup_{\lambda\in\Lambda}Y_{\lambda}\to X$ が与えられたとき、各 $\lambda\in \Lambda$ に対して $f_{\lambda} := f|_{Y_{\lambda}}$ とすることで連続写像の族 $\{f_{\lambda} : Y_{\lambda}\to X\}_{\lambda\in\Lambda}$ が得られる。この対応は可逆であり、全単射\[\prod_{\lambda\in\Lambda}C(Y_{\lambda}, X)\to C\left(\bigsqcup_{\lambda\in\Lambda}Y_{\lambda}, X\right)\]が定まる。
連続写像の族 $\{f_{\lambda} : Y_{\lambda}\to X\}_{\lambda\in\Lambda}$ が与えられており、写像 $f$ を主張の通りに取ったとします。開集合 $U\subset X$ に対して $f^{-1}(U) = \bigsqcup_{\lambda\in\Lambda}f_{\lambda}^{-1}(U)$ であり、これは直和空間の開集合です。よって、$f$ は連続です。
残りも明らかです。
次も基本的です。
連続写像の族 $\{f_{\lambda} : X_{\lambda}\to Y_{\lambda}\}_{\lambda\in\Lambda}$ が与えられているとする。このとき、写像\[f = \prod_{\lambda\in\Lambda}f_{\lambda} : \prod_{\lambda\in\Lambda}X_{\lambda}\to \prod_{\lambda\in\Lambda}Y_{\lambda}: (x_{\lambda})_{\lambda\in\Lambda}\mapsto (f_{\lambda}(x_{\lambda}))_{\lambda\in\Lambda}\]は連続である。
$U_{\lambda}\subset Y_{\lambda}$ を開集合とします。$\pr_{X, \lambda}, \pr_{Y, \lambda}$ を射影とすれば\[f^{-1}(\pr_{Y, \lambda}^{-1}(U_{\lambda})) = \pr_{X, \lambda}^{-1}(f_{\lambda}^{-1}(U_{\lambda}))\]なので $f$ は連続です。
位相空間 $X$ の部分空間上で定義された連続写像たちを「貼り合わせ」て全体で定義された連続写像を構成するということをよくするのですが、その際に便利な補題として次を紹介しておきます。
$X$ を位相空間、$\{A_{\lambda}\}_{\lambda\in\Lambda}$ を $X$ の部分集合族とする。
$X, Y$ を位相空間、$\{A_{\lambda}\}_{\lambda\in\Lambda}$ を $X$ の被覆、$\{f_{\lambda} : A_{\lambda}\to Y\}_{\lambda\in\Lambda}$ を連続写像の族とする。そして、任意の $\lambda, \mu\in \Lambda$ に対して $f_{\lambda}|_{A_{\lambda}\cap A_{\mu}} = f_{\mu}|_{A_{\lambda}\cap A_{\mu}}$ が成立しているとする。このとき、写像 $f : X\to Y$ を各点 $x\in X$ に対して $x\in A_{\lambda}$ となる $\lambda\in \Lambda$ を選んで $f(x) := f_{\lambda}(x)$ とすることでwell-definedに定義できるが、この写像 $f$ に関して次が成立する。
(1) $V$ を $Y$ の開集合とすると、$f^{-1}(V) = \bigcup_{\lambda\in\Lambda}f_{\lambda}^{-1}(V)$ であり、各 $f_{\lambda}^{-1}(V)$ は $X$ の開集合である $A_{\lambda}$ の開集合、従って、$X$ の開集合であるので $f^{-1}(V)$ は $X$ の開集合です。よって、$f$ は連続です。
(2) $F$ を $Y$ の閉集合とすると、$f^{-1}(F) = \bigcup_{\lambda\in\Lambda}f_{\lambda}^{-1}(F)$ であり、各 $f_{\lambda}^{-1}(F)$ は $X$ の閉集合である $A_{\lambda}$ の閉集合、従って、$X$ の開集合です。任意の $\lambda\in \Lambda$ に対して $f_{\lambda}^{-1}(F)\subset A_{\lambda}$ であることと $\{A_{\lambda}\}_{\lambda\in\Lambda}$ が局所有限であることから $\{f_{\lambda}^{-1}(F)\}_{\lambda\in\Lambda}$ は局所有限な閉集合族であり、命題2.1.19より $f^{-1}(F) = \bigcup_{\lambda\in\Lambda}f_{\lambda}^{-1}(F)$ は $X$ の閉集合です。よって、$f$ は連続です。
実数体の区間 $J$ から位相空間 $Y$ への連続写像を連続曲線といいます単に曲線とも呼びますが、曲線という言葉はその場の状況に応じて都合のいい定義がなされることも多いので注意が必要です。例えば、ここでは写像のことを曲線と言っていますが、テキストや状況によっては像のことを曲線と呼ぶことがあります。。例えば、閉区間 $[a, b]$ 上で定義された連続曲線 $c_{1} : [a, b]\to Y$ と閉区間 $[b, c]$ で定義された連続曲線 $c_{2} : [b, c]\to Y$ が与えられ、$c_{1}(b) = c_{2}(b)$ が成立していたとすると、閉区間 $[a, c]$ で定義された写像 $c : [a, c]\to Y$ を\[c(t) := \left\{\begin{array}{ll}c_{1}(t) & (t\in [a, b]) \\c_{2}(t) & (t\in [b, c])\end{array}\right.\]により定義できますが、補題2.2.14よりこれは連続曲線です。
より一般に、位相空間 $X, Y$ と連続写像 $F : X\times [a, b]\to Y$, $G : X\times [b, c]\to Y$ が与えられ、$F|_{X\times \{b\}} = G|_{X\times \{b\}}$ が成立しているとき、これらを貼り合わせて得られる写像\[H(x, t) := \left\{\begin{array}{ll}F(x, t) & (t\in [a, b]) \\G(x, t) & (t\in [b, c])\end{array}\right.\]も連続です連続写像 $F : X\times [a, b]\to Y$ は各 $t\in [a, b]$ において連続写像 $f_{t} : X\to Y$ を $f_{t}(x) := F(x, t)$ により与え、$F$ 自体は $f_{a}$ を連続的に変形して $f_{b}$ に移す過程を表したものと思えます。この意味で $F$ のことを $f_{a}$ を $f_{b}$ につなぐhomotopyといいます。詳しくは2.10.2節を参照。。
位相空間に対する同型概念である同相について簡単にまとめます。
$X, Y, Z$ を位相空間とする。次が成立する。
$X, Y, Z$ を位相空間とする。次が成立する。
位相空間 $X$ の自己同相写像全体からなる集合は合成に関して群 $($3.1.1.2節$)$ と呼ばれる構造を持ちます。
位相空間 $X$ の自己同相写像全体からなる集合 $\Homeo(X)$ に対して
が成立する。さらに、$\Homeo(X)$ は合成 $\circ : \Homeo(X)\times \Homeo(X)\to \Homeo(X)$ に関して群になる。この $\Homeo(X)$ を $X$ の自己同相群と呼ぶ。
開写像と閉写像を導入しておきます。
$X, Y$ を位相空間、$f : X\to Y$ を写像とする。
写像 $f : \R\to \R$ について考えます。
連続写像 $f : X\to Y$ に対して次は同値である。
(2)と(3)は逆写像が存在してそれが連続であることを意味します。よって、そうです。
位相空間についての埋め込みを定義しておきます。
$A, X$ を位相空間とする。連続写像 $f : A\to X$ であって終域側をその像 $f(A)$ に制限 $($相対位相を考える$)$ した写像 $f : A\to f(A)$ が同相写像となるものを $($位相的な今後いろんな意味での埋め込みを考えることになるので、どういう意味の埋め込みかを明示するときはこれを付けます。$)$ 埋め込み $($embedding$)$ という。
包含写像 $i : A\to X$ などが埋め込みの例になります。他に重要なものとしては次が挙げられます。
(1) 制限 $f : X\to f(X)$ が連続であることはよく、これが開写像であることを示せばよいです。ただ、開集合 $U\subset X$ に対して $f(U)$ は $Y$ の開集合であり、当然 $f(U) = f(U)\cap f(X)$ は $f(X)$ の開集合です。
(2) 制限 $f : X\to f(X)$ が連続であることはよく、これが閉写像であることを示せばよいです。ただ、閉集合 $F\subset X$ に対して $f(F)$ は $Y$ の閉集合であり、当然 $f(F) = f(F)\cap f(X)$ は $f(X)$ の閉集合です。
一般の位相空間 $X$ からの写像の終域として実数体 $\R$ などの演算をもつ位相空間を考えることが頻繁にあります。その場合、各点 $x\in X$ における値の演算により写像に関する演算が定義でき、例えば、位相空間 $X$ 上の実関数 $f, g : X\to \R$ についてはその和 $f + g$ が\[(f + g)(x) := f(x) + g(x)\]により定義できます。この写像 $f + g$ が写像 $(f, g) : X\to \R\times \R: x\mapsto (f(x), g(x))$ と終域の連続な演算 $\R\times \R\to \R : (x, y)\mapsto x + y$ の合成により与えられていることに注意すれば、$f, g$ がそれぞれ連続な場合に $f + g$ も連続であることは明らかでしょう。この状況を一般化して次の形で整理しておきます。
$X, A, B, C$ を位相空間とし、連続写像 $\varphi : A\times B\to C$ が与えられているとするこの $\varphi$ が終域に与えられた演算に相当します。。このとき、連続写像 $f\in C(X, A)$, $g\in C(X, B)$ に対して写像\[\varphi_{*}(f, g) := \varphi\circ (f, g) : x\mapsto \varphi(f(x), g(x))\]は連続写像であり、この対応により写像\[\varphi_{*} : C(X, A)\times C(X, B)\to C(X, C)\]が定まる。
写像 $(f, g) : x\mapsto (f(x), g(x))$ の連続性は命題2.2.9から。そして、連続写像どうしの合成写像は連続なので $\varphi\circ (f, g)$ も連続です。
実数体やEuclid空間に関する演算として、次のことは既に示していました。
ということで、一般の位相空間 $X$ 上の実連続関数全体からなる集合には加法\[C(X, \R)\times C(X, \R)\to C(X, \R) : (f, g)\mapsto (f + g : x\mapsto f(x) + g(x))\]および乗法\[C(X, \R)\times C(X, \R)\to C(X, \R) : (f, g)\mapsto (f\cdot g : x\mapsto f(x)\cdot g(x))\]が定まります。実連続関数とベクトル値関数についてもスカラー倍から\[C(X, \R)\times C(X, \R^{m})\to C(X, \R^{m}) : (f, g)\mapsto (f\cdot g : x\mapsto f(x)\cdot g(x))\]が定まります。内積 $\R^{m}\times \R^{m}\to \R$ や距離関数 $\R^{m}\times \R^{m}\to \R$ などでも同様です。
もう少し例を与えておきます。
以下の写像は連続である。
(1) 簡単です。
(2) $\max\{x, y\} = \dfrac{x + y}{2} + \dfrac{|x - y|}{2}$ です。
(3) $\min\{x, y\} = \dfrac{x + y}{2} - \dfrac{|x - y|}{2}$ です。
よって、位相空間 $X$ 上の実関数に関する演算として各点ごとの絶対値や最大値・最小値から定まるもの\[|f| : X\to \R : x\mapsto |f(x)|,\]\[\max\{f, g\} : X\to \R : x\mapsto \max\{f(x), g(x)\},\]\[\min\{f, g\} : X\to \R : x\mapsto \min\{f(x), g(x)\}\]たちは、$f, g$ が連続写像であればちゃんと連続写像を返すことが分かります。
位相空間 $X$ に対して $C(X, \R^{m})$ はスカラー倍 $\R\times C(X, \R^{m})\to C(X, \R^{m}) : (a, f)\mapsto (x\mapsto a\cdot f(x))$ も定義することができ、これらの演算により実線型空間 $($定義1.7.1$)$ になっています。
Euclid空間の部分集合上で定義された関数列と同様に、一般の位相空間上に定義された関数列に対しても各点収束・一様収束を考えることができます。
位相空間 $X$ 上定義された実関数列 $\{f_{n} : X\to \R\}_{n\in \N}$ が関数 $f : X\to \R$ に各点収束するとは、任意の $x\in X$ に対して $\underset{n\to\infty}{\lim}f_{n}(x) = f(x)$ が成立することと定める。
重要な事実として、連続関数列の一様収束極限はまた連続関数になります。
位相空間 $X$ 上定義された実連続関数列 $\{f_{n} : X\to \R\}_{n\in \N}$ が関数 $f : X\to \R$ に一様収束しているとする。このとき、$f$ は連続関数である。
各点 $a\in X$ での連続性を示せばよく、そのためには任意に取った正実数 $\varepsilon > 0$ に対して $f^{-1}((f(a) - \varepsilon, f(a) + \varepsilon))$ が $a$ の近傍であることを示せばよいです。$n\in \N$ を $\|f_{n} - f\|_{\infty} = \sup\{|f_{n}(x) - f(x)|\mid x\in X\} < \varepsilon/3$ に取り、$a$ の近傍 $U = f_{n}^{-1}((f(a) - \varepsilon/3, f(a) + \varepsilon/3))$ を取ります。このとき、任意の $x\in U$ に対して\[|f(x) - f(a)|\leq |f(x) - f_{n}(x)| + |f_{n}(x) - f_{n}(a)| + |f_{n}(a) - f(a)| < \varepsilon\]であるので $U\subset f^{-1}((f(a) - \varepsilon, f(a) + \varepsilon))$ です。よって、$f^{-1}((f(a) - \varepsilon, f(a) + \varepsilon))$ は $a$ の近傍であり、$f$ は $a\in X$ において連続です。
位相空間 $X$ 上定義された有界連続関数全体からなる集合\[C_{b}(X, \R) := \{f\in C(X, \R)\mid \|f\|_{\infty} < \infty\}\]はこの一様ノルム $\|\cdot\|_{\infty}$ に関してノルム空間 $($補足1.7.9$)$ になっています。まず、有界連続関数どうしの和が有界連続写像であることから加法 $C_{b}(X, \R)\times C_{b}(X, \R)\to C_{b}(X, \R)$ が、有界連続関数の定数倍が有界連続関数であることからスカラー倍 $\R\times C_{b}(X, \R)\to C_{b}(X, \R)$ が定まっており、これらにより実線型空間になっていることは容易に確かめられます。続いてノルムに関して、常に $\|f\|_{\infty}\geq 0$ であること、$\|f\|_{\infty} = 0\Leftrightarrow f\equiv 0$ であること、任意の $a\in \R$ と $f\in C_{b}(X, \R)$ に対して $\|af\|_{\infty} = |a|\|f\|_{\infty}$ であることは明らかであるし、三角不等式も\begin{eqnarray*}\|f + g\|_{\infty} & = & \sup\{|f(x) + g(x)|\mid x\in X\} \\& \leq & \sup\{|f(x)| + |g(x)|\mid x\in X\} \\& \leq & \sup\{|f(x)|\mid x\in X\} + \sup\{|g(x)|\mid x\in X\} \\& = & \|f\|_{\infty} + \|g\|_{\infty}\end{eqnarray*}から従います。以上により、有界連続関数全体からなる集合は一様ノルムによりノルム空間になることが分かりました。
以上です。
例はもう少し増やしたいです。
参考文献
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